内村鑑三の言葉

無教会主義や内村鑑三、キリスト教について

内村鑑三 「伝道成功の秘訣」

内村鑑三 「伝道成功の秘訣」

(大正十二年一月十日 聖書之研究第二百七十号)

 

伝道成功の秘訣とて別にない。神の御言(みことば)なる聖書を説くことである。そうすれば、伝道の功は必ず挙がる。そうしないでいくら大挙伝道、倍加運動、社会事業と焦るとも、伝道の効果を見ることはできない。

神が預言者イザヤをもって言い給うた通りである。「わが口より出づる言(ことば)は空しくは我に還らず。わが喜ぶところを成し、わが命じおくりしことを果さん」と(イザヤ書五五章j十一節)。

御言(みことば)そのものが大いなる力である。人の雄弁または技工を加えずして、霊魂を活かし、これを永遠の道へと導く。

汝、教会を起し、これを盛んにせんと欲するか? 聖書を解してこれを説くべし。聖書は教会を起し、これを盛んにするであろう。

英国人の諺にいわく、“Let us build railroads and railroads will build the country.”(われらをして鉄道を作らしめよ、しからば鉄道は国を作るであろう)と。そのごとく、「われらをして聖書を説かしめよ、しからば聖書は教会を興すであろう」。

まず深く聖書を究め、しかる後に生命を賭してこれを説けば、個人も社会も国家も人類も、救わるるは必然である。ただ憾(うら)む、ただこのことのみ行われざることを。