内村鑑三の言葉

無教会主義や内村鑑三、キリスト教について

内村鑑三 「楽しき生涯 (韻なき紀律なき一片の真情)」

内村鑑三 「楽しき生涯 (韻なき紀律なき一片の真情)」

 

我の諂(へつら)ふべき人なし

我の組すべき党派なし

我の戴くべき僧侶なし

我の維持すべき爵位なし

 

我に事ふべきの神あり

我に愛すべきの国あり

我に救ふべきの人あり

我に養ふべきの父母と妻子あり

 

四囲の山何ぞ青き

加茂の水何ぞ清き

空の星何ぞ高き

朝の風何ぞ爽き

 

一箱の書に千古の智恵あり

以て英雄と共に語るを得べし

一茎の筆に奇異の力あり

以て志を千載に述るを得べし

 

我に友を容るゝの室あり

我に情を綴るゝのペンあり

炉辺団坐して時事を慨し

異域書を飛して孤独を慰む

 

翁は机に凭れ

媼 は針にあり

婦は厨に急はしく

児は万歳を舞ふ

 

感謝して日光を迎へ

感謝して麁膳に対し

感謝して天職を執り

感謝して眠に就く

 

生を得る何ぞ楽しき

讃歌絶ゆる間なし